コロナ禍を前後して起こった第三次サウナブームと共に、『ととのう』という言葉をよく耳にするようになりました。
この『ととのう』は、サウナや運動などで身を整える、瞑想や趣味に没頭するなど心を整えるなど、より充実したライフスタイルを送るためのライフハックの1つです。
この心身共に『ととのう』という状態を目指すために、重要な鍵を握るのが私たちの体の司令塔である自律神経であることをご存じでしょうか。
今回は、自律神経の働きを整え、毎日を健やかで明るく過ごすための方法を紹介します。
<目次>
自律神経とは?
自律神経は、交感神経と副交感神経の2つの神経から成り立って、交感神経は血管を収縮させ血圧を上げることで体全体を緊張させ、心も体もアクセル全開の状態にしてくれます。
一方で、副交感神経は血圧を下げ、体を巡る血流の量をアップさせることで、体をリラックスした状態に導きます。
1日の中で交感神経と副交感神経が環境に合わせて自動的に切り替わることで、日々私たちは生活しています。
この2つの神経から成り立つ自律神経が、24時間365日私たちの体の中で働いてくれていることで、健康な生活を送ることができるのです。

冬場は自律神経が乱れやすいので注意が必要!
私たちの平熱は外気温などの季節の変化に関係なく36℃から37℃で保たれていますが、これは自律神経が外気温に合わせて血流や心拍数の調整を行うことで、体温を一定に保つことができているからです。
そのため、外気温とエアコンなどで調整された室温との差が激しい夏や冬の場合は、調整が複雑になることも。
自律神経の調整は、交感神経と副交感神経のスイッチの切り替えによって行われます。ですが、あまりにも頻繁にスイッチが切り替わると、正常な状態を保てなくなってしまい、自律神経の乱れにつながります。
自律神経が乱れているサインとは?
私たちの健康な生活に欠かせない自律神経ですが
- 気温や気圧
- 湿気などの変動
- 身体的ストレス
- 生活習慣の乱れ
など、私たちを取り巻く環境により影響を受けることがあります。
交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、自律神経のスイッチがうまく切り替わらない場合、次のようなサインが体に現れるので注意が必要です。
【副交感神経が優位すぎる場合】
- 泌尿器系のトラブル(尿漏れや頻尿)が起こる
- 下痢をしやすくなる
- 無気力になり活動量が低下する
- 本来起きていなければならない場面で強い睡魔に襲われる
- 立ちくらみを起こしやすい
- のぼせやホットフラッシュが起こりやすくなる
【交感神経が優位すぎる場合】
- 夜寝付けない、夜中に何度も起きてしまうなどの不眠の症状
- 血行不良による肩こりや腰痛
- 偏頭痛が頻発する
- 口の中が常に乾いている
- 動悸や息苦しさを感じる
- 体に熱がこもる
- 食欲不振
- 慢性的に疲労を感じる
現代のライフスタイルでは、交感神経を刺激するデジタルデバイスに触れる機会が多いため、交感神経が優位になりやすいですが、副交感神経が優位すぎても泌尿器系や胃腸の不調につながります。副交感神経と交感神経はどちらかに大きく偏るのではなく、ほぼ平衡に保たれているのが健康的な状態と言えるのです。

自律神経を整えるための方法とは?
自律神経のバランスの乱れをそのままにしてしまうと、自律神経失調症やうつ病、高血圧症などの病気につながる場合があるので、できるだけ早く自律神経のバランスを整えましょう。ここでは、副交感神経と交感神経の両方にアプローチして、両者のバランスを取るための方法をお伝えします。
【意識して腹式呼吸をする】
普段何気なく行っている呼吸ですが、お腹を意識して行う腹式呼吸を意識的に取り入れることで、自律神経の働きを整えることができます。
腹式呼吸では、肺の下にある横隔膜が多く動き、この横隔膜に自律神経が多く集まっているため、腹式呼吸を行うことで自律神経も同時に刺激されます。
また、腹式呼吸は胸式呼吸に比べて肺が大きく膨らむため体に入ってくる空気の量(酸素の量)も多くなり、体内の酸素の量が多いと自律神経の働きが安定するため、ぜひ腹式呼吸を意識して取り入れましょう。
【耳周りのマッサージ】
耳たぶなどの耳の外側には交感神経が、耳の内側には副交感神経が密集しており、耳周りの筋肉が緊張していると、体の不調が出やすくなります。
その場合は、耳周りの血行を促進させることで解消できますが、とくに冷えを感じやすい冬場は入浴だけでは耳周りが温まらないこともあるので、ぜひマッサージを取り入れましょう。マッサージをする際は、少量のオイルをつけて行うと、保温効果が上がり冷えにくくなるのでGOOD!
▽耳のオイルマッサージのやり方
- 指先に少量のオイルをつける
- 親指と人さし指を使って、左右の耳全体をもみほぐす
- 耳の中間をつまみ、軽く横に引っ張る
- こめかみや耳の上を指先で刺激する
【温冷交代浴】
入浴は、湯船につかるということ自体が自律神経に働きかけ、心身ともに整えてくれる健康法です。ですが、さらに温冷交代浴と呼ばれる入浴方法は交感神経と副交感神経どちらも刺激し、それぞれの働きを整えてくれるのでオススメ。

温冷交代浴は、温かいお湯につかる温浴と、冷水を浴びる冷浴を交互に行う入浴方法で、サウナもこの温冷交代浴に分類されます。
温浴で副交感神経を、冷浴で交感神経をそれぞれ刺激するため、交互に行うことで自律神経の切り替えのバランスがととのう効果が期待できます。
ちなみに、42°Cを超える熱いお湯につかると、交感神経を優位にさせ心身を興奮状態にしてしまうので、自律神経を整える入浴方法としては避けるのがベターです。
▽自宅で行う温冷交代浴の方法
- 40℃の湯船に3分つかる
- 湯船から出て、25〜30℃くらいのシャワーを30秒間手足にかける
- 再び3分間湯船につかり、同じように冷たいシャワーをかけるのを3セット繰り返す
- 最後はなるべく冷たいシャワーで終わります
ただし、冬場など冷たいシャワーで入浴を終えると冷えが気になる方は、3セット後に10分ほど温かい湯船につかってお風呂から上がっても大丈夫です。
温冷交代浴は、普段の入浴より身体に負担がかかります。ですので、持病がある方はかかりつけ医に相談するか、体調に注意して行ってください。
【ビタミンB6、ビタミンB12、動物性タンパク質を積極的に摂る】
自律神経も、筋肉などの細胞と同様に修復や再生を繰り返しています。ですので、毎日の食事で自律神経の修復を助け、さらにバランスを整えサポートをしてくれる栄養は積極的に取り入れましょう。
▽自律神経の働きをサポートする代表的な栄養
・動物性タンパク質
自律神経の原料となる必須アミノ酸が含まれており、健康な自律神経の合成に欠かせません。
・ビタミンB6、ビタミンB12
ビタミンB6は交感神経と副交感神経のスイッチの切り替えに欠かせない、神経伝達物質の合成に必要な成分。また、ビタミンB12は「神経のビタミン」と呼ばれている成分で、自律神経をはじめとした神経細胞の保護と修復を担い、神経細胞が正常に働くために欠かすことのできない成分です。
・マグネシウム
必須ミネラルの一つであるマグネシウムは、血管を拡張させ交感神経の働きをおだやかにする効果が期待できる成分です。さらに、幸せホルモンであるメラトニンの合成を促す効果もあり、自然の精神安定剤とも言われることも。ただし、腎機能が低下している方は、マグネシウムを過剰摂取してしまうと体への負担が大きくなるので注意しましょう。
自律神経はメリハリが大事!体も心も整えて寒さを乗り切りましょう
今回、自律神経の働きを整え、毎日を健やかで明るく過ごすための方法を紹介しました。自律神経である交感神経と副交感神経は、どちらかが優位になってしまっても、あるいはどちらの働きも低下してしまっても、心身に影響が出てしまいます。
両方の神経が適した場面で作用できるようコントロールすることが大切です。目には見えないですが、ぜひ自律神経を意識して日常生活を送ってみてください。
