近年、メンタルヘルスケアの重要性が広く認識されるようになってきました。しかし具体的にどのように始めればよいのか、よくわからない方もいるのではないでしょうか。本記事ではメンタルヘルスケアの基本的な考え方から、日常的なストレス対策までわかりやすく解説します。今日からさっそく始めてみましょう。
まずは自分の状態を知ることから
メンタルヘルスケアの第一歩は、自分の心と体の状態を正しく把握することです。日々の生活の中で、次のようなサインに注意を向けてみましょう。
(1)心の変化をチェック
イライラや不安が続く・些細なことで落ち込みやすくなったということはありませんか?また趣味や好きなことへの興味が薄れたり、人と会うのを避けたくなったりするのも心が疲れているサインです。仕事や家事への意欲が低下していないか、自分の気持ちをよく観察してみましょう。
(2)体の変化をチェック
寝つきが悪い・途中で目が覚めるなど、睡眠の質や時間に変化はありませんか?食欲は普段と変わりませんか?原因がよくわからない頭痛や肩こり 、胃の不快感はストレスが原因の可能性があります。また、疲れやすさやだるさが続く場合も注意が必要です。
自分の状態がよくわからないという方は、「感情日記」をつけてみましょう。感情日記とは、自分が思っていることをノートに書き出して頭の中を整理すること。心と体の変化を客観的に把握したり、気持ちを安定させてストレスを軽減させたりするのに効果的です。またノートに書き出すことで、自分の思考のくせや感情に伴う行動を見直すきっかけにもなります。
感情日記は思いのままに書くことがポイント。他人に見せることはないので、自分の気持ちを素直に書き出しましょう。1日の終わりに、とくに印象に残った出来事を思い出し、そのとき、どんな感情がわいてきたのかを書くのもおすすめです。

基本的なセルフケアを実践してみよう
自分の状態が把握できたら、さっそく基本的なセルフケアを始めましょう。メンタルヘルスを保つための基本は、食事・運動・休息の3つを整えることです。それぞれ紹介します。
【食事に気をつける】
体の調子が悪いとネガティブな気分になりませんか?心の健康は体の健康状態と密接に関連しています。しっかり食べてバランスよく栄養をとりましょう。気分の安定に役立つ栄養や、睡眠をサポートする成分を意識してとるのもおすすめです。
- オメガ3脂肪酸(青魚や亜麻仁油など):気分を安定させるのに役立つ
- ビタミンD(魚類、きのこ類など):心のバランスに必要なセロトニンの産生を促す
- ビタミンB群(豚肉やうなぎ、玄米など):やる気や集中力に関わる脳の神経伝達物質の合成に関与している
- トリプトファン(卵、乳製品、豆類など):良質な睡眠をサポートする
また、腸内環境の悪化とメンタル不調との関連性も指摘されています。発酵食品や食物繊維を積極的に摂取し、腸内環境を良好に保つことも重要です。

※※発酵食品の写真
【適度な運動をする】
適度な運動は心身のリフレッシュに効果的です。軽い散歩でもよい気分転換になります。自宅でできるヨガやストレッチは、普段体を動かす習慣のない方にも取り組みやすいエクササイズ。まずは1日5分からはじめてみましょう。
【睡眠の質を高める】
質の良い睡眠はメンタルヘルスの基盤となります。必要な睡眠時間を確保し、翌朝気持ちよく目覚められるように工夫しましょう。
就寝時間を一定に保つ
寝室の温度と湿度を適切に管理する
就寝1時間前からブルーライトを避ける
寝室は暗く、静かな環境を整える
夕方以降はカフェインの摂取を控える
上記は睡眠の質を高めるのに役立ちます。お風呂で体を温めてから布団に入るのも効果的です。
日常的なストレス対策も大切に
食事・運動・休息を整えたら、日常的なストレス対策も取り入れましょう。自分に合ったものを見つけて、継続することが重要です。
簡単なリラクゼーション方法を試してみる
- 10秒かけて深呼吸する
- 仰向けになって体の力を抜く
- こめかみや肩など、緊張しやすい部分をやさしくマッサージする
これらは、誰でも簡単にできるリラクゼーションの一例です。
ポジティブ思考を取り入れる
ポジティブ思考は、単に物事を楽観的にとらえることではありません。物事を肯定的にとらえて、現実を良い方向に変える思考です。原因より改善策を考え、物事を前向きにとらえるようにしましょう。ネガティブな言葉を口にしないことも大切です。
リフレーミングの練習をする
リフレーミングとは、物事を違った視点からみることです。ネガティブな状況を違う角度から見直してみると、メリットが見えてきます。「失敗してしまった」→「次に活かせる経験ができた」、「完璧にできなかった」→「改善点が見つかった」など、感じ方が変わるはずです。
周囲の人や環境に感謝をする
感謝とは、周囲の人や環境の価値を認めるということ。感謝する行為を通して、自尊心を高めることができます。
セルフケアだけで対処が難しい場合は、躊躇せず専門家に相談することをおすすめします。かかりつけ医や職場の相談窓口など、身近にある相談先に連絡してみましょう。地域の保健所や電話相談窓口、オンラインカウンセリングなどを活用する方法もあります。自分でどうにもならないときは、周りの人を頼ることが大切です。

メンタルヘルスケアを継続しよう
心の健康は私たちの人生の質を大きく左右します。メンタルヘルスケアは、決して特別な取り組みではありません。日々のセルフケアの積み重ねが、心の健康を支えていきます。まずは自分にできることから、少しずつ始めていきましょう。焦らず無理せず、自分のペースで進めていくことがセルフケアを長続きさせるコツです。
