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精神的ストレスが体に与える影響
メンタルヘルスとは心が健康で、社会的なつながりを持っている状態を指します。心の健康を維持するには、精神的なストレスと上手に付き合うことが大切です。
私たちが強いストレスを感じると、体内ではさまざまな変化が起こります。まず、副腎皮質からコルチゾールというストレスホルモンが分泌されます。コルチゾールは生命維持に不可欠なホルモンで、一時的な緊張状態では有益に働くため問題はありません。しかし長期間ストレスにさらされると過剰に分泌されたり、必要なタイミングで分泌されなくなったりするため注意が必要です。
たとえば精神的ストレスによって、次のような症状があらわれることがあります。
- 睡眠の問題:不眠や睡眠の質の低下、夜中に目覚める
- 消化器系の問題:食欲不振、過食
- 免疫機能の低下:風邪をひきやすい
- 自律神経系の乱れ:動悸や息切れ、めまいや耳鳴り
- 筋肉の緊張:肩こりや頭痛、腰痛

より深刻なのは、慢性的なストレスの影響です。慢性的なストレスがさまざまな健康問題のリスクを高めることはよく知られています。生活習慣病のリスクが上昇するほか、既存の健康問題を悪化させる可能性もあります。またストレスの影響が行動面にあらわれると、暴飲暴食や飲酒量の増加などにつながることも。こうした状況では社会的なつながりを良好に保つことは難しいでしょう。メンタルヘルス不調にならないように、過剰なストレスには早めに対処することが大切です。
体の不調がメンタルヘルスに与える影響
体の不調も私たちの心の状態に大きく影響します。たとえば慢性的な痛みや疲労は、気分の落ち込みやイライラ、不安感を引き起こす原因となります。とくに睡眠不足の影響は顕著です。継続的な睡眠不足は疲労の蓄積につながり、次のような状態を引き起こします。
- 判断力が低下し、仕事や勉強がはかどらない
- 物忘れが増える
- 意欲や集中力が低下する
- 感情のコントロールができない
日本人は他国に比べて睡眠時間が少ないことが指摘されています。忙しくても最低限必要な睡眠時間は確保し、メンタルヘルスを良好に保てるよう工夫しましょう。
メンタルヘルスは日常生活にどんな影響をもたらすか
メンタルヘルスの状態は仕事や学業、対人関係など日常生活のあらゆる面に影響を及ぼします。メンタルヘルスの悪化がどのような影響をもたらすのか、具体例を紹介します。
仕事への影響
メンタルヘルス不調は、職場での生産性や対人関係に大きな影響を与えます。
- 集中力が低下するため、単純なミスが増える
- 決断力が低下し、大事な場面で判断を間違える
- 仕事の納期に遅れる
- コミュニケーションがうまくとれず、チームワークが悪くなる
ワークライフバランスへの影響
仕事のストレスは家庭生活にも波及し、次のような問題を引き起こすことがあります。
- 家族との時間が楽しめない
- 育児や家事に支障がでる
- 趣味や休養の時間がとれない
- 生活リズムが乱れる
- 休んでも疲れがとれない
人間関係への影響
メンタルヘルスの悪化は、周囲との関係性にも影響を及ぼします。
- 些細なことでイライラして感情的になってしまう
- 家族や友人との関係が悪化する
- 対人関係でトラブルが増える

メンタルヘルスの悪化を防ぐには運動と食事に注目!
近年、メンタルヘルスの悪化を防ぐために「メンタルヘルスケア」が注目されています。メンタルヘルスケアの基本として大切にしたいのが、運動と食事です。
適度な運動は、メンタルヘルスの改善に効果的。運動をすることでストレスの軽減や睡眠の質の向上に効果が見込めます。また定期的に運動をすることで生活習慣病や肥満の予防につながり、気持ちも前向きになります。
食事は質に注目しましょう。バランスのとれた食事は、心の健康に重要な役割を果たします。たんぱく質やビタミン・ミネラルを摂取し、炭水化物や砂糖をとりすぎないように気を付けます。発酵食品を取り入れて腸内環境を整えるのも効果的。良好な腸内環境は免疫を高め、疲れがたまりにくくなります。旬の野菜や果物は積極的に取り入れましょう。栄養が豊富なだけでなく、抗酸化作用によるストレス軽減効果も期待できます。
メンタルヘルスを上手にコントロールしよう
メンタルヘルスと身体の健康は、密接に関連しています。一方が悪化するともう一方にも影響がおよび、さらには日常生活全般にまで支障をきたす可能性があります。しかし、ストレスと上手に向き合い健康維持に努めることで、メンタルヘルスの悪化を防ぐことは可能です。心と体の健康は、充実した人生を送るための重要な基盤となるのです。
