骨盤は普段の生活や癖によって歪みが生じやすい場所です。しかし、骨自体が歪むというわけではありません。周りの筋肉が固くなり、可動域が小さくなることで骨盤の位置が変化し、歪みを感じるようになります。
骨盤が歪むと、腰痛や肩こりなど体のほかの部位にも悪影響があるため、ヨガポーズやストレッチで正しい位置に戻すのが重要です。今回は、骨盤の歪みを正しい位置に戻すのにおすすめなヨガポーズを4つ紹介するので、参考にしてみてください。
<目次>
前後に傾いている
左右の高さが異なる
左右どちらかの骨盤が開いている
腰痛になる
血流が悪くなる
肩こりになる
寝たまま骨盤を転がす
スパイナルツイストアレンジ
アンジャネヤーサナアレンジ
パリガーサナ
骨盤が歪んでいる状態とは
骨盤が歪んでいる状態とは骨自体の形が変わるわけではありません。周りの筋肉の硬さや普段の姿勢によって、本来あるべき場所から骨盤の位置が変わり、下記のような状態になることを指します。
- 前後に傾いている
- 左右の高さが異なる
- 左右どちらかの骨盤が開いている
ここからは、それぞれの歪み方について解説します。
前後に傾いている
骨盤は本来であれば床から垂直に立っている必要があります。しかし、もも裏や鼠径部にある腸腰筋が硬くなると骨盤が引っ張られ、前や後ろに傾いてしまいます。骨盤が前に倒れると、背骨もつられて歪むため反り腰や猫背になり、姿勢全体が歪む原因になるでしょう。
左右の高さが異なる
骨盤は本来、左右の高さが平行でなければなりません。しかし、足を組むときに同じ方向ばかりで組んでいたり、どちらかの足に体重をかけて立つ癖があったりすると骨盤の高さが左右で変わってしまいます。
左右で骨盤の高さが変わると肩の高さも変化するため、肩の筋肉が緊張し肩こりや首のこりにつながる可能性が高いです。
左右どちらかの骨盤が開いている
本来骨盤の開き具合は、左右同じである必要があります。しかし、出産や同じ足の方向であぐらをかくなどが原因で、片方のみが開いてしまうケースがあります。
骨盤の開き具合が左右で異なると、股関節を開くときの可動域に左右で差が出たり、立ったときにつま先の向きが左右で異なったりする可能性が高いです。すると土台が崩れて姿勢が歪み、疲れやすくなったり、正しく筋肉を使えないことから足が太くなったりするリスクもあります。
骨盤の歪みによる影響
骨盤の歪みによる影響があるのは骨盤周りだけではありません。下記のように他の部位にも影響を及ぼすので注意が必要です。
- 腰痛になる
- 血流が悪くなる
- 肩こりになる
ここからは、それぞれの症状について解説していきます。
腰痛になる
腰痛は、骨盤が前に傾くことにより症状として現れるケースが多いです。骨盤が前に倒れると反り腰になるため、背骨の腰の位置にある骨に負担がかかり痛みが生じます。
また、背骨は骨の間に椎間板と呼ばれる、クッションの役割を果たす板が挟まっています。正しい姿勢では、骨の間に椎間板がしっかりとおさまっている状態です。しかし、骨盤が後ろに傾くと背骨が丸まり、背中の皮膚側のスペースが開いて椎間板が飛び出てしまうことがあります。
すると椎間板が神経に接触して痛みを感じる「椎間板ヘルニア」になる可能性が高いため注意が必要です。
血流が悪くなる
骨盤が歪んでいる状態は、歪みの原因である筋肉が硬くなっている状態です。筋肉が硬くなると血流が悪くなるため、必然的に骨盤周りや全体の血流も悪くなります。
とくに骨盤周りには内臓が集まっているため、骨盤周りの血流が悪くなると内臓の温度も下がってしまいます。すると内臓機能が低下し、便秘などほかの症状を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。
肩こりになる
骨盤の高さが左右で異なると、肩の高さが変化したり前後の傾きによって猫背や巻き肩になったりと肩まで歪みが生じます。
すると肩や首のこりにつながってしまいます。肩の高さが異なる場合は肩自体が歪んでいるのか骨盤からくる歪みなのかによって対策が異なるため、見極めなければなりません。
座ったときに、肩の高さが水平であれば骨盤による歪み、座っていても肩の高さが異なる場合は肩自体の歪みである可能性が高いです。
肩こりや肩の高さが異なる場合は、はじめに椅子に座ってどこから来る歪みなのかチェックしてみてください。
骨盤の歪みを整えるヨガポーズ4選
骨盤の歪みはさまざまな方向からアプローチをかけて正しい位置に戻す必要があります。その際、下記4つのヨガポーズがおすすめです。
- 寝たまま骨盤を転がす
- スパイナルツイストアレンジ
- アンジャネヤーサナアレンジ
- パリガーサナ
ここからは、それぞれのやり方を解説していきます。
寝たまま骨盤を転がす
骨盤が前後に傾いている場合、骨盤を前後に転がして可動域を広げることで、垂直な状態に戻しやすくなります。
キャット&カウのポーズでもできますが、四つ這いになると背骨を動かすことに集中してしまい、骨盤に意識が向かなくなる可能性があります。
そのため、まずは仰向けで骨盤を転がすことから始めるのがおすすめです。やり方は以下の通りです。
- 膝を立てて仰向けになる
- 両手を腰に添えて、息を吐きながらおしりの穴を斜め上に向けるように骨盤を自分の方へ傾ける
- 息を吸いながら骨盤を前に向けるように傾け、腰を少し反らす
- 上記を繰り返す
このとき、背中は床に着いたまま骨盤だけを前や後ろに傾けるように動かします。床に背骨が着いているので、背骨を反ったり丸めたりすることに意識が向きにくく、骨盤の前後の傾きに意識を向けやすいです。
スパイナルツイストアレンジ
骨盤の開き方に差がある場合は、股関節を閉じる動きと開く動きをするのがおすすめです。左右で行うことで左右差も感じやすくなり、歪みの状態を把握できます。やり方は以下の通りです。
- 仰向けになり両手を肩の高さに広げる
- 右膝を胸に寄せたら右手で抱え、膝を外に開く
- かかとは着いても着かなくても良い
- できれば膝を脇の下に寄せる
- 正面に戻したら左手で抱え直して膝を左に倒し、顔を右に向ける
- 右の肩甲骨をつけたままできる所まで膝を床に近づける
膝を倒す方向で得意・不得意がある場合、骨盤の開き具合に歪みが生じています。苦手に感じる方を少し長めに行うなどして歪みを治していきましょう。
アンジャネヤーサナアレンジ
アンジャネヤーサナでは骨盤を垂直に立てることで鼠径部をストレッチし、反り腰を改善する効果が期待できます。腰椎や椎間板ヘルニアに悩んでいる方におすすめです。今回は鼠径部をストレッチできるアレンジを紹介します。
- ブロックを体の両サイドにセットしておく
- 四つ這いになったら右足を手と手の間に置く
- 起き上がり両手を腰に添える
- 右足付け根を引き込んで骨盤正面向きにし、尾骨を床に向けて骨盤を垂直に立てる
- そのまま骨盤を真下に沈めるようにして左の鼠径部をストレッチする
- できたら右脚を1歩前に歩かせ、そのまま骨盤を落とす
- 手が届くようであればブロックに手をのせて、手でブロックを押しながら背筋真っすぐを保つ
- 上記を繰り返しながら少しずつ骨盤を床に近づける
骨盤が前に倒れたり腰が反ったりするようであれば、沈めすぎなので右脚を1歩引いたりして調整しましょう。
パリガーサナ
パリガーサナは体を横に倒すことで脇腹を伸ばし、骨盤の左右の高さを整えるのにおすすめです。今回は2種類のパリガーサナで脇腹を交互に伸ばします。
- 膝立ちになったら両手を腰に添える
- 右足を1歩前に出して外に開く
- できれば膝を伸ばし、つま先まで床につける
- 右手を前ももに添えたら左手を天井にあげる
- 体を右に倒し、左脇腹をストレッチする
- 起き上がったら左手を床につけて右手を耳の横まで伸ばす
- 肩の真下に手首、おしりの下に膝が来るように位置を調節
- 手足で伸び合う
このとき、おしりが後ろに飛び出やすいので、前に押し出して背中は後ろに寄りかかるようにし、薄い壁に挟まっているような状態を保ちながら横に倒れましょう。
ヨガポーズで骨盤の歪みを治して正しい位置に戻そう
今回は骨盤の歪みの種類や、位置を戻すのにおすすめなポーズを紹介しました。骨自体が歪むわけではありませんが、骨盤の位置が変わることで体全体の歪みや不調につながります。
今回紹介したポーズなら、4種類の骨盤の歪みにアプローチできるので、ぜひ試してみてください。