「アキレス腱の場所はどこでしょうか?」と聞かれた時に、「足のふくらはぎ?それとも足首あたり?」となんとなく答える方が多いのではないでしょうか。
そんなアキレス腱は足のかかとの上にある組織なのですが、実は「歩く」という私たちの基本的な動作に関わってくる重要な場所です。
また、アキレス腱の状態が悪くなると、足のむくみがひどくなりやすくなるため、見た目にも影響が出てくることも。
アキレス腱の痛み=スポーツをする人というイメージを持つ人もいると思いますが、普段激しいスポーツをしていなくても痛みが出てくることがありますので注意が必要です。アキレス腱という言葉は聞いたことがあっても、普段から意識して生活している方は少数派ではないでしょうか。
今回は、アキレス腱の不調をそのままにしてはいけない理由や、不調を感じる際の症状について紹介します。
アキレス腱とは?
アキレス腱とは、ふくらはぎの筋肉である「腓腹筋(ひふくきん)」「ヒラメ筋」の2つの筋肉とかかとの骨をつないでいる組織。
筋肉と腱はそれぞれ別の性質を持つ組織です。筋肉が骨に付着している部分が腱と呼ばれているのですが、筋肉が赤く伸縮性があるのに対して、腱は白くて硬く伸縮性があまりない組織です。
腱には筋肉のはたらきをサポートするとともに、体の構造を安定させる役割があります。アキレス腱は体の中でも一番大きな腱であり、体を支える足を構成している組織なので、とくに重要な腱です。主にコラーゲンで構成されています。
アキレス腱の断裂とは?
アキレス腱がある足首周りは、元々血行の良くない場所であるため、疲労や加齢によって柔軟性がなくなり、だんだん硬くなってきます。
柔軟性が失われた状態で、急に外部からの大きな負荷がかかると、対応できなくなりアキレス腱が断裂してしまうこともあるので注意が必要。
アキレス腱が断裂してしまった場合は、ギブスでの固定や場合によっては手術を行うことも。
ただし、アキレス腱の断裂は自覚症状のないまま当然起きるのは稀であり、まずはアキレス腱周辺の炎症による痛みなど前兆が現れますので、痛みや違和感を決して放置しないでください。
アキレス腱が硬くなっている場合どんな症状が出るの?
・小さな段差にもつまずきやすくなる
「歩く」という動作は、足の後ろにあるアキレス腱が伸びてすねが前に傾くことで、かかとから足の前方へと体重を徐々に移動させて進んでいくのが基本形です。
しかし、アキレス腱が硬い場合、すねが前に倒れきらず途中で止まってしまい、体重移動がスムーズにいかなくなります。
さらに、その状態では足指で地面をしっかりとけり出すことができなくなり、いわゆるすり足の状態になってしまうことで、つまずきやすくなります。
・アキレス腱付近に痛みが出る
アキレス腱は主にコラーゲンの繊維でできており、年齢が進むと柔軟性が失われ、硬くなっていきます。
その状態でアキレス腱に強い負荷がかかるとアキレス腱や周辺の組織が炎症や変性を起こすことがあります。
椅子に座った状態から立ち上がり、歩き出す時にかかとに痛みが走る場合は、アキレス腱炎症を発症している可能性が。
・冷えやむくみが取れなくなる
アキレス腱につながるふくらはぎの筋肉(腓腹筋やヒラメ筋)は、第二の心臓とも言われており、その伸縮する動きがポンプ作用となり静脈の血液を心臓に向かって押し上げる役割を担っています。
ところが、アキレス腱が硬い状態ですと、筋肉がしっかりと使えない状態となってしまい、足の血液を押し上げられなくなります。それにより、足全体の血流が 低下してしまい、冷えやむくみを引き起こすことに。
アキレス腱の状態をセルフチェック
アキレス腱の不調は、徐々に柔軟性がなくなりアキレス腱が硬くなることから引き起こされるため、トラブルの予防のためにも日頃からアキレス腱の柔軟性をぜひチェックしましょう。
<アキレス腱の柔軟性のチェック方法>
- まっすぐ立った状態から、片足を 1 歩後ろに下げる
- 両膝と両足の人差し指が正面を向いているか確認
- 前の足の膝をゆっくりと曲げる、後ろ足はかかとを床につけたまま、膝は伸ばす
3の体勢で後ろ足のすねを10度以上、前側に倒せない人はアキレス腱が硬い状態ですので、気をつけましょう。
ヨガを行っていてもアキレス腱トラブルになることも!
ここまで、アキレス腱のトラブルの原因や症状について紹介しました。
実は、ヨガなどの体の柔軟性を高めるエクササイズを行っている方でも、アキレス腱が硬いためトラブルを抱えてしまうことがあります。
たとえば、手と足裏を地面につけたまま、お尻を高く突き上げるダウンドックのポーズの際、足裏が地面から離れてしまう方は、アキレス腱が硬くなっているので気をつけましょう。
次回は、硬くなってしまったアキレス腱のケアの方法について紹介します。