日常会話の中で「免疫が低下すると風邪をひきやすくなるから、気をつけてね」と言われたことはありませんか?私たちの体には免疫が備わっており、体に悪影響を及ぼす細菌やウイルスから体を守っています。しかし、体の中で具体的にどのようなことが起きているのかまでは、知らない方もいるのではないでしょうか。
本記事では、免疫の仕組みや働きについてわかりやすく解説します。免疫について知りたい方は、ぜひ参考になさってください。
免疫の仕組みとは
免疫とは体に入ってきた病原体を異物として認識して排除し、体の機能を正常に保つ働きのことです。目に見えなくても、私たちのまわりには多くの菌やウイルスがいます。そうした環境の中でも健康に過ごせるのは、免疫のおかげです。
免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」があります。
自然免疫とは、生まれつき体に備わっている免疫のことです。体に病原体が侵入した時、すぐに対応します。自然免疫はマクロファージやナチュラルキラー細胞など、病原体を食べて排除する「食細胞」が中心となって活動します。
一方、獲得免疫とは、名前の通り後天的に獲得していく免疫のこと。一度体内に入った病原体を記憶し、次に同じ病原体が来た時に効率よく対処する仕組みです。獲得免疫があることで、一度感染した病原体に感染しにくくなったり、軽い症状ですんだりします。自然免疫より病原体に対処するスピードはゆっくりですが、さまざまな病原体に対応が可能です。
私たちの体は自然免疫と獲得免疫の働きによって、健康な状態を保っています。
免疫が低下すると何が起こる?
免疫が低下するということは、病原体に対する防御力が下がることを意味します。そのため、病気にかかりやすく、怪我が治りにくくなることも。そのほか、疲れやすい・肌荒れがおさまらない・食欲がないといった症状が表れる可能性があります。
次のような行動は、免疫が低下する原因になると言われているため注意しましょう。
<暴飲暴食>
免疫細胞の約7割は、腸に存在しています。そのため、食生活の乱れや暴飲暴食で腸内環境が悪化すると、免疫が低下するおそれがあります。発酵食品や食物繊維を積極的に摂取して、腸内環境を良好に保つよう心がけましょう。
<不規則な生活>
不規則な生活で体内リズムが乱れると、免疫が低下すると言われています。起床後は日光を浴びて、体内時計をリセットするのがおすすめ。また、日光を浴びることでセロトニンが分泌されるため、気分が前向きになる効果も期待できます。
<過度なストレス>
ストレスを過剰に受けると、病原体の侵入を防ぐ機能が低下するおそれがあります。上手に気分転換をして、ストレスをため込まないようにしましょう。また、笑うことは、免疫細胞の一種であるナチュラルキラー細胞の活性化につながります。
<体の冷え>
体の冷えは、免疫が低下するおそれがあります。血流が悪くなり、体に必要な酸素や栄養が細胞にスムーズに行き渡らないからです。昔から「冷えは万病のもと」と言われています。軽い運動をする、お風呂にゆっくり浸かるなど、体を温める工夫をしましょう。
<喫煙>
喫煙も免疫の低下につながる要因の一つです。たとえば、喫煙すると、気管にある異物を外へ吐き出す機能が低下すると言われています。1日に吸う本数を減らす・禁煙を検討するなどの対策をおすすめします。
<加齢>
年齢を重ねると、新しく生まれる細胞の質が低下します。正常に働く免疫細胞も加齢に伴い減少すると言われており、高齢になるほど免疫は低下します。また、善玉菌の数も減って腸内環境が悪化しやすいため、「腸活」を意識して生活することが大切です。
免疫が低下していると感じたら
「免疫が低下しているかも」と感じたら、腸に注目しましょう。免疫細胞の約7割は、腸に存在しています。腸内環境を良好に保つことで、免疫を高める効果が期待できるからです。次の3点に気をつけ、できるところから始めてみましょう。
- 食生活を見直す
- 適度に運動する
- 質のよい睡眠をとる
最初に手をつけやすいのが、毎日の食事です。発酵食品や食物繊維を取り入れたり、発酵調味料を使ったり、無理のない範囲で試してみてください。
疫(疫病)から免れる(逃げる・避ける)という字を書いて「免疫」。免疫は体を守る大切な機能です。免疫を低下させないよう、体の調子に耳を傾けながら毎日を過ごしましょう。
まとめ
免疫とは、体に入ってきた病原体を異物として認識して排除し、体の機能を正常に保つ働きです。自然免疫と獲得免疫のおかげで、私たちは健康に過ごせます。しかし、生活習慣の乱れやストレスなどによって、免疫が低下する場合があります。免疫が低下するということは、病原体に対する防御力が下がることを意味するため、注意が必要です。食事・運動・睡眠を疎かにせず、心身を良好に保ちましょう。