最近、スーパーやコンビニでも『シナモン』を使ったお菓子や飲み物が定番商品として、置かれていることをご存じでしょうか?
シナモンは世界最古のスパイスと呼ばれており、世界最古の医学である『アーユルヴェーダ』とは切っても切れない関係です。
健康意識の高まりにより、予防医学の観点からも注目を集めるスパイス。
今回は、スパイス×アーユルヴェーダをテーマに、スパイスの効果や症状別レシピについて紹介します。
<目次>
アーユルヴェーダとは?
アーユルヴェーダとは、5000年前からインドに存在する医学理論のこと。
食物は薬であり日々台所で作られる料理によって心身ともに健康を維持できると。
アーユルヴェーダの本場インドでは、体の調子が良くない時はすぐに病院に行くのではなく、まずは食事療法を試すことが習慣化されています。
アーユルヴェーダでは、食物が持つ味を6つに分類しており、それぞれの味によって体への作用が変わると考えられており、これら6つの味をバランス良く摂取することが心身ともに健康でいられる秘訣とされています。
アーユルヴェーダとスパイスの関係
アーユルヴェーダでは、人にはそれぞれ生まれながらに持っている性質(ドーシャ)があると考えられています。ヴァータ(風)・ピッタ(火)・カパ(地)と呼ばれる、3つの要素によって構成されており、このドーシャバランスを取ることをアーユルヴェーダでは目指しています。その時の体調に合わせ、増やすべきドーシャ、減らすべきドーシャを見極め、体を調整する際に重宝されているのがスパイスです。
食物は薬であり、日々台所で作られる料理を使って体を癒やすという、キッチンファーマシー(台所薬局)の概念が根付くインド。
その時の体調、自分の体質に合わせて数種類のスパイスをブレンドしたものを料理に使用することが、日常的に行われています。
アーユルヴェーダにおける代表的なスパイス5選
世界には500種類ものスパイスがあると言われています。今回はその中でも、アーユルヴェーダとつながりが深い代表的なスパイス5つを紹介します。
●ターメリック
ターメリックは、生姜の仲間であるウコンの根茎を乾燥させ粉末にしたものです。カレーの着色スパイスとしておなじみで、欧米ではスーパーフードとしても注目が高まっているスパイスです。ターメリックは、『天然の抗生物質』と呼ばれており、殺菌作用や抗炎症作用によって、免疫強化だけではなくアンチエイジング効果も期待できます。
●シナモン
シナモンを使ったシナモンロールやシナモンティーなど、日本でも数多くのレシピが定番化しているスパイスです。シナモンの香りは桂皮アルデヒドによるもので、消化を促進させる働きがあると言われています。
●カルダモン
甘くエキゾチックな香りを持つスパイスで、その爽やかで上品な香りから『スパイスの女王』とも呼ばれています。主成分であるテルピニルアセテートが、胆汁の分泌を促し消化を助ける効果があり、カルダモンの強い香りが強力なニオイ消しになるため、口臭ケアとしても使われています。
●クローブ
肉の臭み消しとして、ハンバーグなどの肉料理に使われることが多いスパイスです。胃腸を温め、体内の冷えの改善や腹痛を緩和する効果が期待できるスパイスです。また、グローブの主成分である「オイゲノール」には、歯痛や歯肉炎を鎮めてくれる効果があり、歯科でも局部麻酔薬などに利用されることも。
●ブラックペッパー(黒胡椒)
日本でも、日常的に使われているスパイスの1つであるブラックペッパーは、強い香りとピリッとする辛みが特徴のスパイスです。アーユルヴェーダでは体のエネルギーを燃え立たせ、脂肪や老廃物を燃焼させると考えられています。
さらに、アーユルヴェーダの秘薬と呼ばれる、乾燥生姜+黒胡椒+長胡椒を組み合わせて作ったトリカトゥなど、アーユルヴェーダにはさまざまな種類のスパイスが存在します。
おすすめのアーユルヴェーダスパイスレシピ
スパイスを利用して体の不調を取り除くメニューも、スパイス同様数多く存在します。今回は、季節の変わり目に出やすい体の不調へのアプローチが期待できる3つのメニューを紹介します。
●月経不順×白身魚のサフランスープ(フィッシュスープ)
鱈などの白身魚を玉ネギ・白ネギ・ニンニク・トマトなどの野菜とサフランで煮込む料理です。
スウェーデンでは、ジャガイモや生クリームを加えたアレンジで親しまれています。
サフランには、月経不順や生理痛の緩和、不眠症や血行改善などの効果があるとされ、婦人病の特効薬と言われることも。さらに、白身魚は体を温める効果が高い食材なので、スープでサフランと一緒に体に取り入れることで、体の冷えによる生理トラブルを防ぐ効果が期待できるのもGOOD!
●情緒不安定×カルダモン・クローブ・シナモンのチャイ
チャイとはインドでよく飲まれているスパイス入りのミルクティーのことで、それぞれの地域によって加えるスパイスが異なるのが特徴。
とくに南インドでよく飲まれているカルダモン・クローブ・シナモンのチャイは、カルダモンの香りに含まれるα-テルピネオールと1.8-シネオールという香気成分が、気分を落ち着かせ疲れを回復させる働きがあるとされており、精神的な疲れを感じる時におすすめの1杯です。
●腸内デトックス×りんごのシナモン煮
消化力を高め、血流促進に効果があるシナモンは、腸の働きを整える「腸活」には欠かせないスパイスです。
便秘や下痢といった胃腸の不調の改善に加え、腸内環境を整えることで肌荒れの改善効果も期待できます。さらに、胃腸の調子を整える水溶性食物繊維が豊富なりんごとシナモンを少量の水で一緒に煮込むことで、最強の腸内デトックスメニューが完成します。
身近になってきたスパイスを上手に使って心も体も整えましょう
今回は、アーユルヴェーダでも活躍するスパイスの効果やおすすめレシピについて紹介しました。
スーパーの調味料売場でもスパイスの種類が充実していたり、スパイス入りの茶葉や本格的なスパイスカレーのレトルトパウチが売っていたりと、以前に比べるとスパイスとの距離が近づいているのではないでしょうか。
スパイスは、日々の食事や飲み物にほんの少し加えるだけで、アーユルヴェーダを日常に取り入れることができるアイテムです。ぜひこの機会に、スパイスのある暮らしを実践してみてください。