私たちが普段何気なく立ったり歩いたりできるのは、足があるからです。足は非常に複雑な仕組みで動いており、足の構造が崩れると体の不調につながるおそれもあります。
本記事では足の特徴や構造など、足の仕組みについて解説します。これまで足について考えたことのなかった方も、ぜひ読み進めてみてください。足って本当にすごい仕組みで動いているのです。
足には体の1/4の骨が集まっている
人間の体には約210個の骨があり、そのうち約1/4は足の骨です。片足には大小28個の骨があり、精密機械のような複雑な構造をしています。ルネサンス期を代表する芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチも「足は人間工学上、最大の傑作であり、そしてまた最高の芸術作品である」という言葉を残しているほどです。
生まれたばかりの足の骨は柔らかく、16〜17年かけて骨格が形成されます。また、足の形には左右差や個人差があり、足の幅や指の長さ、土踏まずの高さや重心の位置なども個人差が大きいのが特徴です。
足の3つの役割とは?
足には大きく3つの役割があります。
(1)体重を支える
人間は、2本の足で全体重を支えています。足裏と地面が接する面積は体表面の1%ほど。特に、足根骨という骨は、体重の90%を支えていると言われています。
また、足は体を支える土台にあたるため、足に不具合があると膝や股関節の痛み、腰痛や肩こり、頭痛などの不調の原因となることもあります。
(2)立つ・歩く・衝撃を吸収する
足の骨や関節、筋肉の複雑な動きによって、人間は立ったり歩いたり、走ったりすることができます。また、飛び跳ねたときの衝撃を吸収する働きもあります。これらの動きの重要な要となるのが、アーチ構造です。人間は親指の付け根と小指の付け根、かかとの真ん中の3点を中心として立ちます。この3点を結ぶラインを「アーチ」と言い、縦と横のアーチが存在します。
アーチが崩れるとうまく立てなかったり、足腰に痛みが出たりするケースがあるため、注意が必要です。(アーチについては後述します。)
(3)心臓に血液を戻す
足には下半身に流れてきた血液を、重力に逆らって心臓に戻す働きがあります。「足は第二の心臓」という言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。立ちっぱなしで足がむくんでしまった・座りっぱなしで足が重いと感じるのは、下半身に血液が滞っているからです。足首の動きによってふくらはぎの筋肉を弛緩・収縮させることで、心臓に血液を送り返すよう働きかけます。
足はアーチ構造をしている
私たちが自由に歩いたり走ったりできるのは、足がアーチ構造をしているからです。アーチ構造は立つ・歩くなどの動きをするのに非常に重要で、大きく縦アーチと横アーチに分かれます。
<縦アーチ>
縦アーチは、足の内側と外側にあります。内側の縦アーチがいわゆる「土踏まず」です。外側は見た目は平らに見えますが、わずかにカーブを描いています。
縦アーチの役割は主に2つあり、足にかかる負荷を分散することと、ふくらはぎの力を足に伝えることです。この2つの機能のおかげで、足先で蹴りだすことができるようになり、前に進めます。
また、縦アーチはバランスを取るのにも重要です。縦アーチを形成する骨同士が靭帯でつながっており、体のバランスを崩してもアーチがたわむことでバランスを維持できます。
<横アーチ>
5つの中足骨で構成されます。中足骨は足の幅を計るときに用いられる骨で、触ると少し出っ張っています。足の指側から見た時、真ん中がやや浮いた半円を描いているのは横アーチがあるからです。
横アーチは足裏をドーム状に持ち上げ、足裏の筋肉で体を支えるために必要です。衝撃や重さに強い構造をしており、歩くときの推進力を生み出す働きもあります。
また、足のアーチを支える筋肉が弱まると、魚の目やたこができやすくなったり、体が疲れやすくなったりします。大人になってから歩き方や生活環境が原因で横アーチがなくなってしまう人もいるため、高いヒールや靴ひもの締めすぎには注意が必要です。
なお、縦アーチと横アーチは互いに補いあっているため、どちらか一方のアーチが崩れるともう片方のアーチにも悪影響が出ます。適度に運動して、足の筋肉に刺激を与えると良いでしょう。
まとめ
足には全身の1/4の骨が集まっており、両足で56個の骨があります。骨や腱、靭帯や筋肉などが複雑に組み合わさった構造をしており、足の形や指の長さなど個人差が大きいのが特徴です。足は体重を支え、立ったり歩いたりするだけでなく、心臓に血液を戻す働きもあります。また、足のアーチ構造が崩れると、体の不調につながる可能性があります。足に合わない靴を履かない・適度に運動するなど、足の健康に気を配るようにしましょう。