仕事のパフォーマンスを向上させる方法として、「瞑想」や「マインドフルネス」に興味を持つ人が増えています。どちらも集中力アップや精神の安定に効果のある方法です。
瞑想とマインドフルネスはよく似ているため混同されがちですが、同じものではありません。本記事では瞑想とマインドフルネスの関係性について解説します。2つの違いを知って、自分に合った方を取り入れてみましょう。
瞑想とマインドフルネスの違い
瞑想とは、意識を自分の内側に向けることで、頭の中の雑念を払い、心を安定させる行為です。呼吸に集中したり、ヨガをしたり、ただ静かに座ったり、やり方は違ってもすべて瞑想です。
私たちは、常に頭の中で考え事をしています。過去の出来事を思い出したり、これからやるべきことについて考えたり、雑念は自然に浮かんでくるものです。
しかし、雑念にとらわれた状態では、目の前の出来事に深く集中することができません。瞑想して雑念が消え去ると、今この瞬間に起きていることに集中できるようになります。これを「マインドフルな状態」とよびます。
マインドフルネスとは「今、この瞬間に集中している状態=マインドフルな状態」です。瞑想は、マインドフルネスになるための手段やトレーニング方法として使われています。
つまり、瞑想とマインドフルネスは、手段と目的の関係にあるのです。
また、瞑想が心の安定を目的としているのに対し、マインドフルネスは仕事のパフォーマンスの向上を目的としています。
瞑想はもともと仏教の修行であったことから、宗教的でスピリチュアルなイメージがあります。一方、マインドフルネスは宗教とは切り離されており、瞑想の効果を仕事に活用するのが特徴です。マインドフルネスが世界的に有名な企業でも取り入れられているのは、仕事の効率化や利益を上げるのに適しているからです。
マインドフルネスの効果
マインドフルネスは、具体的にどのような効果があるのでしょうか?マインドフルネスは、健康面と精神面はもちろん、特に仕事においてメリットがあります。
<健康面>
- 血糖値や血圧のコントロールに役立つ
- 痛みによる苦痛を和らげる
- 自律神経が整う
<精神面>
- 集中力がアップする
- 感情のコントロールができるようになる
- ポジティブ思考になれる
<仕事面>
- 集中力がアップすることで、生産性があがる
- 自分と周囲を客観的に見ることで、物事の優先順位をつけられるようになる
- ストレスとうまく向き合えるようになる
- 共感力や洞察力が高まり、良好な人間関係を築ける
マインドフルネスは個人の状態だけでなく、チームにも良い影響を及ぼすのが特徴です。
個々の生産性が上がりチームとしてまとまりがあれば、企業全体の業績は向上します。心と体の安定だけでなく、より現実的な利益を求めるならマインドフルネスを取り入れるとよいでしょう。
マインドフルネス瞑想のやり方
マインドフルネスの実践方法が「マインドフルネス瞑想」です。マインドフルネス瞑想には多くのやり方がありますが、そのうち代表的なものを5つ紹介します。隙間時間や日常生活の中でできる瞑想ばかりです。
呼吸瞑想
呼吸を意識する瞑想です。椅子や床の上に座って姿勢を正し、深く呼吸をします。呼吸をする際に、空気の感覚や呼吸する音、お腹の膨らみや胸の動きに注意を向けます。体が呼吸する感覚を味わってください。
歩く瞑想
歩きながら歩く感覚を味わう瞑想です。具体的には、足の裏の感覚や膝や太ももの感覚、手の動きや顔にあたる風の感覚などに集中します。
食べる瞑想
食べながら食材や食べる感覚を味わう瞑想です。まずは食材をじっくり観察し、口に入れます。食感や味、風味などに注意を向けます。同時に、箸が口にあたった時や食材を噛んだ時の感覚も味わいましょう。食べる瞑想はダイエット効果が高いといわれているため、ウエイトコントロールにも役立つはずです。
慈悲の瞑想
身近な人の幸せを願う瞑想です。家族や友人など、身近な人を思い浮かべて彼らの幸せを願います。思いやりの心が育ち、人間関係に良い影響を与えるといわれています。
ボディスキャン瞑想
頭からつま先までの感覚を順番に味わう瞑想です。体のコリや痛みの軽減に効果があるといわれています。仰向けに寝て行う瞑想のため、寝る前に行うとよいでしょう。
まず、つま先の感覚に意識を向け、つま先が触れている部分の感覚や温度を味わいます。次に、鼻から新鮮な空気をとりこみ、全身を通って体の外に出ていくイメージをしながら呼吸をしてください。2〜3回呼吸したら、次の部位に移ります。つま先の次はふくらはぎ、膝、太ももと徐々に上に移動していきましょう。
どの瞑想中も、雑念が浮かんで来たら感覚に注意を向けるようにしてください。その際、雑念を無理に頭から追い出そうとしたり、良い・悪いを判断したりする必要はありません。雑念が出てくるのは普通のことです。今集中すべき感覚を意識することで、雑念は自然と消えていきます。
また、瞑想は1日20~30分程度続けるとよいとされていますが、最初は短時間でもOKです。継続すると雑念が浮かびにくくなり、より効果を感じられるようになります。
まとめ
瞑想とマインドフルネスは、密接な関係があります。「今ここに集中している状態」をマインドフルな状態を呼び、瞑想はマインドフルな状態になるための手段として使われています。
マインドフルネスは、仕事のパフォーマンス向上のために瞑想を活用するのが特徴です。マインドフルネスを実践すると個人の仕事の効率を上げるだけでなく、チーム全体にも良い影響があります。マインドフルネスが多くの企業で取り入れられているのは、業績アップが期待できるためです。
また、マインドフルネスの実践方法として「マインドフルネス瞑想」があります。そのなかでも食べる瞑想や歩く瞑想は、日常生活に取り入れやすい瞑想です。心と体の安定だけでなく、仕事で成果を出したい時はマインドフルネス瞑想を取り入れるとよいでしょう。